彼に殺されたあたしの体
息を吐き出すと同時に全身の力を抜き、あたしは微笑んだ。


楽しい。


素直にそう感じる事ができる。


できるならずっとずっと描き続けていたいと思う。


しかしそれはあまりに我儘な思いで、あたしはようやく立ち上がった。


ずっと同じ体勢で描いていたため、体のあちこちが痛い。


あたし、人よりも少し早くおばあちゃんになっちゃうんじゃないかな?


なんて、学校までの帰り道に考えた。


その時の絵は半分ほど色が塗られた状態で美術室に置かれている。


あの絵を完成できないまま死んだのは、少しばかり悔しいと感じた。
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