彼に殺されたあたしの体
虫や動物たちは自分たちの命が今尽きてしまうかもしれない。


という事を知っていて生きているのかもしれない。


死ぬかもしれないから、一秒一秒を頑張れているのかもしれない。


そんな虫たちがあたしの上で歩みを止めて少し休憩していたら、あたしはすごく嬉しい気持ちになった。


骨になったあたしでも、まだ虫の役に立てているのだと思えた。


どうぞ、ゆっくり休憩していって。


ずっと働き続けで疲れているでしょう?


あんなに嫌だったミミズが相手でも、そう思えるようになっていた。


そして虫たちはまた動き出す。


あたしはそれを優しく見送る。


ごめんね、あたしはここか動けないから、あなたたちを手伝う事はできないの。


心の中でそう言って。
< 144 / 306 >

この作品をシェア

pagetop