彼に殺されたあたしの体
王子様みたい。


なのだそうだ。


あたしは影でメイがそう噂されていることを思い出し、クスッと笑った。


確かに、今朝あたしを助けたメイはまるで王子様のようだった。


女子生徒たちの噂は案外的を得ているのではないかと感じる。


そう思っていると、体育館の準備室のドアが開き、ボールを持った先生が姿を見せた。


どうやら生徒たちよりも随分先にきて準備をしてくれていたみたいだ。


「みんな集まってる?」


若い女教師は上下ブルーのジャージを身に着け、長い髪をポニーテールにまとめている。


「はぁい」


生徒たちがまばらに返事をして、先生の元へ近づいていく。


「じゃ、各自ペアを作ってボール取りに来て」


こうして、体育の授業は始まった。
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