彼に殺されたあたしの体
蘇る
あたしはまるで今その場面を見ているように、順を追って記憶を取り戻していった。


まずあたしは憎んだ。


人を憎んだ。


先生を、クラスメイトたちを。


その気持ちはどんどん膨れ上がり、少しも縮まることなどなかった。


ついにはその人たちが死んでもいい。


死んでしまえ。


とまで考えていた。


そしてそれは本気だった。


心の底から相手の命を奪いたいと願っていた。


すると……あたしの体が……いや、あたしの魂が自分の骨から抜け出たのだ。


それはまるで重力の失われた世界にフヨフヨと漂っているような感覚だった。
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