彼に殺されたあたしの体
叩きつけられた瞬間、線路の石が飛び跳ねた。


そして先生の頭蓋骨は陥没し、そこからダラダラと血が流れ始める。


先生が引きずられた所には赤い線が引かれて行く。


それでも先生の意識はあった。


一番の恐怖を。


一番の絶望を味あわせてやるために、そう簡単に気絶などさせるものか。


あたしはそう強く願っていたからだ。


先生は意識があるままに腕をもがれ、頭を砕かれ、そしてまだ引きずられていた。


その顔には涙と唾液が溢れ、頭からはコポコポと音を立てながら血が流れ出していた。


あたしは先生に近づいた。


生と死のはざまにいる先生と目が合う。


瞬間、先生は目を大きく見開いた。


あたしの事が見えているんだ。


確実に命を削られ、だけど意識はハッキリとしている人間。


そういう人間にはあたしの姿が見えるのかもしれない。
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