彼に殺されたあたしの体
「強制的に成仏をさせるという事は、天国にも地獄にも行けないという事。ただ、みあお姉ちゃんの意識がこの世から消えると言う事なんだ」


(それって……どういうこと?)


「みあお姉ちゃんは今成仏できる状態ではないんだ。


棺桶にも入っていないし火葬もされていないし、お経も読まれていない。


ただ土に埋まり、骨になっただけ。


そんな状態では魂が納得して成仏するワケがない」


睦人君の言っている意味はわかる。


すなおに成仏できないから、強制的に成仏をさせるという事。


そして強制的に成仏させられた魂は、どこへも行かずただ消えると言う事。


今の状態とどう違うのだろう?


あたしは意識を持っているが、その意識を誰かに伝えることは無理だ。


睦人君のような能力がない限り、会話はできない。


つまり、生きている人間からすればあたしはすでに『存在しない者』なんだ。
今更自分の意識が消えたからといって、別に困ることもない。


「みあお姉ちゃん、聞いている?」


(あぁ。ごめん、聞いているよ。


あたしの意識が消えても困る人はいないよね? だから別に強制成仏をさせられても平気だけれど……)
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