彼に殺されたあたしの体
(一番残酷な方法って……?)


あたしは恐る恐る聞く。


聞きたくないけれど、聞いておかなければいけない。


「悪魔に魂を取りに来てもらうんだ」


悪魔……。


そんなものが実在するなんて思ってもいなかった。


でも、呪いや幽霊と言ったものを信じるしかなくなった今、悪魔や天使の存在も身近なものになっていた。


「悪魔はとても残酷なんだ。人間の魂をまるでリンゴのように食べるんだ。


だけどね、食べられた人間の魂は悪魔の体内で存在し続けるんだ。悪魔に消化され、悪魔の血肉になっても、まだ意識だけは生き続けるんだ。


それは永久に続く苦痛さ。痛みや苦しみだけがみあお姉ちゃんを支配して、そして自分が誰だったのかもわからなくなってくる。だけど死ねない」


永久に続く苦しみ……。


あたしはジワリと汗をかくのを感じた。


睦人君があたしを怖がらせるために言っているようには聞こえなかった。
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