彼に殺されたあたしの体
(わかったわ……。あたしがもし人を殺してしまったら悪魔を呼んでくれていい。でも睦人君に1つ聞きたいことがあるの)


「なに?」


(睦人君はあたしがここにいる事を知っている。なのに、どうして助けてくれないの?)


睦人君がここに来てからずっと感じていた疑問を口にする。


すると、睦人君は何か痛みに耐えるような唸り声を上げた。


「それは……それはね……」


言いたいけれど、言いにくい。


そんな雰囲気を漂わせながらも、睦人君は教えてくれた。


「僕たちの規則に反するからなんだよ」


(規則?)


「そう。僕たち『見える者』が死体を掘り起すことはもちろんできる。だけど、それをしてしまうと僕たちが犯罪の容疑者になるんだ、今の日本ではね。


だから、『見える者』たち間ではちゃんとした依頼が来ない限り、死体に直接触れてはいけない。死体がある場所も他言してはいけないという事になっているんだ」
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