彼に殺されたあたしの体
あたしの想像はあながち間違いではないのかもしれない。


家のあちこちを歩き回る2人の足音は、奥さんが誘導しているように聞こえる。


ますパタパタとスリッパの音がして、その後を付いて行く音。


そしてスリッパの音が止まり、どこかのドアを開ける。


「わぁ! この洗面所思っていた通りだわ!」


先に立っていた奥さんが喜びの声を上げ、旦那さんが後ろから洗面所を覗き込む。


手に取るようにわかる2人の行動に、あたしは思わず笑ってしまいそうになる。


きっと2人はいい夫婦になる。


なんとなくだけれど、音だけであたしはそう感じたのだった。
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