彼に殺されたあたしの体
あたしがここにいるというのに、どうしてこの2人は性交渉なんてできるんだろう。


そういう怒りに似た感情から始まり、


あたしも同じように先生に愛されていたハズだった。


それなのに、どうしてあたしとこの夫婦とでは違ったんだろう。


そんな悲しみが押し寄せてくる。


あたしは必死になって睦人君との約束を思い出し、自分の感情を制御していた。


できる事なら聞きたくない声を、無理に聞いていないフリをする。


両手があれば耳をふさぐ事ができるのだろうか?


あたしは耳も手もすでにないというのに、そんな事を考えた。


夫婦によって突然騒がしくなった土の上に、あたしは小さくため息を吐きだした。
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