彼に殺されたあたしの体
家の夫婦は今のところうまく行っているようで、あたしのように妊娠したからと言って殺されるような原因はどこにもないのだから。


そして月日は流れ、あっという間に赤ちゃんが生まれる時期になった。


奥さんの「タクシーを呼んで」と言う声は、鳥もまだ眠りについている時間帯に聞こえて来た。


お腹が大きくなってきて上り下りが大変だからか、夫婦はずっとリビングで寝起きしていて、その声はあたしにまで安易に届いてきたのだ。


その直後、旦那さんが慌てて起きだす音が聞こえてくる。


「すみません、タクシーを一台。住所は……」


車を持っているのにどうしてタクシーを呼ぶのだろう？


一瞬そう思ったけれど、その疑問はすぐに納得できることになた。


「楽な体制をして。どこをさすってほしい？　タクシーで移動中、ずっとついていてあげるからね」


旦那さんのそんな声が聞こえてくる。
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