彼に殺されたあたしの体
ひと時も離れたくない。


そんな雰囲気を感じとることができた。


タクシーを使う理由は、ずっと奥さんについていたいからみたいだ。


あたしは2人の間に流れている優しい空気を想像して、少しだけ悲しくなった。


できればあたしもその空気を感じてみたかった。


子供が生まれる瞬間というものも、味わってみたかった。


苦しくて痛い分、ものすごく大きな幸せが待っているのだろう。


あたしは旦那さん慌ただしく動き回っている様子を聞きながら、意識を絵に集中させた。


幸せな絵を描こう。


あたしも一緒に笑顔になれるような、そんな絵を描こう。
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