彼に殺されたあたしの体
あたしがほしいと願っていた物を、この人たちは全部持っているのだ。


どうしてだろう。


どこで間違えてしまったんだろう。


あたしだって手に入れる事ができたハズの幸せなのに。


少しタイミングが違えば、彼らと同じように先生と暮らしていたかもしれないのに。


あたしは自分の中で怒りが芽生えるのを感じていた。


クラスメイトや先生を殺してしまった時と同じ憤り。


我を忘れて彼ら家族を恨んでしまいそうになる。


生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声にすら、イライラする。


あたしは意識を土の中にいる虫たちに集中した。


ミミズが数匹集まって、なにやら話し込んでいるように見える。


グネグネと体を動かし互いに体をからませ合い、まるで団子のようになっている。
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