彼に殺されたあたしの体
「美彩……」


メイ。


ほら、涙が……。


「美彩! 美彩!!」


メイは泣きながら、あたしの名前を叫びながら、素手で土を掘り起こし始めた。


爪を立て、まるでマロンのように。


その指の先から血がにじんでも、食いしばっている唇から血が流れても、メイは掘る事をやめなかった。


ありがとう。


ありがとう、メイ。


旦那さんが穴の中から這い出て、急いで警察に電話をかけている。


あぁ……。


あたしはようやくここから出る時が来たのだ。


二度と会えないと思っていた親友の手によって、助けられるのだ。
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