彼に殺されたあたしの体
終わりの時、始まりの時
数時間後。


あたしは警察の手によってすべての骨を救出されることとなった。


これから骨の検査を行い、あたしがあたしだという証明を行っていくのだろう。


行方不明になった1人の女子高生の事件が、ようやくここで殺人事件として世間に出まわることになる。


でも、そんなことどうでもよかった。


裁かれるべき存在の先生はすでに死んでいる。


今はただ、土の中から出られた事に安堵し、待ち続けた時間が走馬灯のように蘇り、そして……とてもけだるく、眠かった。


思えばあたしは土に埋められてから一睡もしていない。


何年も何年も、眠っていない。


眠る事が不必要だったからだと思っていたけれど、今あたしはとても眠かった。


……ねぇ、お願い。


少しだけ……眠らせてくれる?


あたし……なんだか……すごく疲れて……。


あたしの意識はようやく消えた。
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