彼に殺されたあたしの体
☆☆☆

あたしは1人残された屋上で茫然として立ち尽くしていた。


先生に捨てられた。


その事実と先生のタバコのにおいだけがここに残っている。


「どうしよう……」


あたしは呟き、自分のお腹に手を当てた。


まだまだ小さな子供がここにいる。


まだ動かないしお腹も膨らんでいないからその実感はうすけれど、確かにここに存在している。


この子を守ることを第一に考えたい。


でも、どうやって?


相手はあたしを捨てて行ってしまった。


両親に正直に話しても、きっと産ませてはもらえないだろう。


あたしには子供を育てる能力も、経済力もない。


ただの学生だ。
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