彼に殺されたあたしの体
☆☆☆

一体どこへ行くのだろう?

行き先を告げずに動き出した車にあたしは思う。


台風の影響で周囲は薄暗いけれど、車の中が見えなくなるほどじゃない。


だから学校からは極力遠ざかることになるだろう。


あたしが妊娠した話をするとすれば、人目のない場所を選ぶはずだ。


そう思っていると、車は30分ほど進んだアパートの駐車場で停車した。


灰色の外壁をした長方形の面白みのないアパートを、車の中から見上げる。


ここはどこだろう?


「下りて」


「ここは……?」


「俺のアパート。ボロいけど部屋は綺麗だから」


先生がそう言い、先に車を下りて助手席のドアを開けてくれる。
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