彼に殺されたあたしの体
あたしはそれに従って車を下りた。


「先生のアパート……」


そう呟いてみると、トクンッと心臓がはねた。


先生がひとり暮らしをしていることは知っていたけれど、部屋に来るのは初めてのことだった。


先生とのデートはいつでも人目を気にしていたから、車は真っ直ぐにホテルに向かうことが多かった。


ホテルの中なら、誰にも見られずに話す事もキスすることもできたから。


「ほら、おいで」


車から下りてボーッとアパートを見上げていると、先生があたしを手招きした。


「あ、はい!」


慌てて先生に付いて歩く。
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