彼に殺されたあたしの体
命を失くし、がらんどうになったあたしの体は彼の腕に抱かれてもダラリと垂れ下る事しかできなかった。


そしてそれは彼にとってとても重たいものらしく、3歩ほど進んだ所であたしの体は乱暴に土の上へと落とされた。


下は柔らかな土だったけれど、落下した時にあたしの右手は自分の体の下敷きになった。


瞬間、ゴキッという音が体内を通じて聞こえてくる。


痛みはない。


でも、右手首が妙な角度へ曲がってしまったことが理解できた。


どうやら折れてしまったようだ。


そういえば刺された時は痛みがあったっけ。


と、数時間前の事を思い出す。


痛みと意識は徐々に薄れて行くものだと思っていたけれど、それは違った。
< 6 / 306 >

この作品をシェア

pagetop