彼に殺されたあたしの体
始まりは
ゴトリ。


あたしは自分の体が床に転がる音を聞いた。


すべての力が抜けて座っていることもできなくなったあたしは、そのまま横倒しに倒れてしまったのだ。


自分の心音がどんどん弱まって行くがわかる。


空気を吸い込むことができず苦しいはずなのに、痛みも苦痛も一切感じなかった。


ただぼんやりと、止まっていく自分の心音に耳を傾けて……。


しばらくすると、完全にあたしの心臓は停止した。


死んだ……?


あたしは一瞬それを理解することもできなかった。
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