彼に殺されたあたしの体
死んでもこうして思考回路は続いていて、目の前には泣き崩れる先生が見えていて。


ただ、あたしが1人動作と言語を失っただけだった。


それはあまりにもあっけない終わり方だった。


16年間生きてきたというのに、生きてきた証をなにも残せていない。


死ぬ間際にいい人生だったと感じることもない。


ただ混乱と疑問だけが残る死。


でも、パッとしないあたしに一番ふさわしい死に方だったかもしれないな。


なんて、自傷的に笑ってみる。


だけど頬の筋肉は少しも動かなくて、笑うこともできなくなったのだと理解できた。


動けないのでは今の状況を変化させることもできない。


仕方がないので、あたしは先生の次の行動を待つことにした。


しばらく嗚咽しながら泣いていた先生だけれど、どうやら用意周到だったらしい。
< 69 / 306 >

この作品をシェア

pagetop