彼に殺されたあたしの体
この状況が辛いのか悲しいのか、正直よくわからなかった。


好きな人に殺されて、赤ちゃんまで一緒に奪われて。


普通なら恨んだりする場面だと思う。


けれど、これが先生の選んだ結果なのだと思うと、なんとなく許せてしまう自分がいた。


まだまだ考え方が子供、と言われるかもしれない。


あたしは埋められた時よりも土が重たくなっていることに気が付いた。


雨が降って、地面に吸収されているからだろう。


一度掘り返された土は隙間が多く、水分を吸収しやすい。


あたしを取り囲む土たちはあっという間に湿り気を帯びてきた。


ジトジトとした空間はあたしは好きじゃない。


湿気が多いと髪の毛もまとまらないし、肌がベタベタしてくる。


そんなあたしの考えとは裏腹に雨は降り続け、あたしの体にまで水滴を運んできた。
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