彼に殺されたあたしの体
雨に濡れた土は匂いを濃くし、むせてしまいそうだった。


そんな時、ザラッと土が落下してくる音がした。


少しずつ開いた土の隙間が、雨で重たくなった土によって塞がれはじめたのだ。


落ちてきた土によってあたしの体は更に圧迫された。


それは今のあたしに不運としか言いようのないことだった。


土の重さに耐えかねたあたしの腹部が、ベコッと音を立てて凹んだのだ。


ウエストあたりには骨がないから、ペッタンコになってしまったのだ。


当然ながらお腹の中には色々な臓器が入っている。


それらが体内で上下に移動するのがわかった。


体に残っていた空気が抜けて「ゲェェェ」と、汚い声が口から洩れる。


それと同時に押し上げられた胃と胃物が口の中に入ってくる。


口の中にドロリとした胃液の感触と、薄い膜のような胃袋の感触が伝わってくる。


さっき飲んだミルクも口内へ戻ってきてしまった。
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