彼に殺されたあたしの体
☆☆☆

内の中に埋められてから時間の感覚はなくなっていた。


朝も昼も夜もない。


しいて言うなら、周囲は真っ暗だから常に夜といった感じだけど。


お腹もすかないし、トイレも必要ない。


ただここに横たわっているだけ。


そうなってしまうと、今日が何月何日かなんてあっという間にわからなくなってしまった。


そもそも、埋められた時の天候が最悪だったため、朝だろうが夜だろうが、雨の音しか聞こえてこなかった。


だから、あたしの時間の感覚は更に鈍ってしまった。


土の中の生活は快適とは言えなかったけれど、特別困る事もなかった。


困る事がないのは、あたしがすでに死んでいるからで。


生きたままの人間が地中で生活するのは、さすがに困難を極めると思う。
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