3年越しの片想い。
「い、いや、なんでも、ないです」
「そうか」
不思議。
いつもだったらどんなにかっこよくても怖くて見とれたりしないのに。
涼介くんは、私のことを知っている?
私は涼介くんのことを知っている?
私たちは、会ったことがある?
全てが謎。
よくわからないまま、私は袖を握り締めて脳内に張り巡らされた思考を探る。
...なんにも、思い出せない。
「入学おめでとう!」
その声とともにがっちりとした筋肉質の熱血っぽい教師がドアから顔を覗かせる。
「さーあ、HRはじめるぞー!まず...、」
私の耳は先生の声なんて全く拾わない。
考えているのは相変わらず謎なままの涼介くんのこと。
とりあえず、気にしないでおこう。
私は、先生の話に全神経を集中させた。