神風の如く
四
芹沢鴨、という男
六月上旬
大阪に行っていた一行が帰ってきた
しかし──────
「なんだと!?それは本当か、近藤さん!!」
副長室にお茶を運ぼうとしたときに聞こえた土方の声
恐らく、大阪の力士たちとの乱闘事件は起こってしまったのだろう
歴史を変えてはいけない、とわかってはいてもスッキリしない気分だった
なかなか入れず、話が落ち着くまで、襖の前にいた
「失礼します、お茶をお持ちしました」
話が途切れたのを見計らって、そっと襖を開ける
「あぁ、蓮君か、久しぶりだね」
「はい」
近藤は屯所にいても随分と忙しいようで、大阪に行く前もあまり姿を見なかった
「お前、話を聞いていたか………」
「す、すみません
入るに入れなくて…………」
やはり土方にはバレてしまっていた
「いや、どうせお前は何もかも知ってんだろ?
別にいい」
そう、華蓮は未来から来た人間だ
知っているのは当然