神風の如く





ものすごい剣幕に押されそうになる



「………っ」




「おい女、ぶつかってきたんだからその詫びを体で払えって言ってんだよ、その意味わかるよな?」




なんという傲慢な人



華蓮は少し苛立ちを覚えた



ぶつかったのは自分とはいえ、ちゃんと謝ったのだ



それに奴だって前をあまり見ていなかったはずだ




「それは……お断りします」




冷静に、冷静に、と心の中で唱えながらゆっくりと答えた




が、それが逆に男の怒りを買ってしまっていた




──シャキン





気がつけば男が抜いた刀は真っ直ぐ私に向けられている




「…………っ」




───ここはあなたが元にいた時代とは違う時代です───




あのときの小雪の声が頭に響いた







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