神風の如く
──パチンッ
華蓮は両頬を叩いた
「痛っ……」
夢ではなさそうだ
「何してんだ?」
土方からしてみれば、華蓮の行動は完全にムードを壊したと言ってもいいだろう
それでも華蓮は構わずに土方に告げた
「夢………じゃないんですね」
「喧嘩売ってんのか?」
「そんなっ………違います!!
ただ、私は今まで大事なことは自分で決められなくて、意志のないロボット……じゃなくて、言われたまま動く奴隷みたいな存在だったんです
そんな私が自分の意志で戦うことを選び、ここにいたいと望んで…………
先ほどの土方さんの、受け入れてくれた上に、私を望むと言ってくれた言葉は何よりも嬉しかったんです」
何よりも─────
そうだ、こんなに温かい気持ちは知らない
「………っ」
また、目から涙を流していた
「………っおい!」
土方はそれを見て動揺した
「なんでもありません………これは嬉しいから出てしまったんです
でも、おかしいな………
ここに来てから涙もろくなったのかな…」
華蓮は俯いて涙を拭った
よく考えれば、普通の人間では有り得ない体験をしているのだ
少しくらい涙もろくなったって不思議はない、華蓮はそう自分に言い聞かせた