神風の如く





───!!





急に土方の手が伸びてきたと思ったら、顔を上向きにさせられ、親指で涙を拭われた





「………っ」





その瞳に吸い込まれそうになる





「ったく、めんどくせぇな」





────トン





ドキリ、と胸が鳴った次の瞬間には土方の腕の中にいて、どんどん体が熱くなるのがわかった





「ひ、土方さん……?」





「……お前は脆いくせに、強くあろうとする………それを見ていて、とても歯がゆい」





抱きしめられているせいで顔が見えず、土方の言いたいことがイマイチ掴めない





「す、すみません………」




ひとまず、謝った





「いや、そうじゃなくてな………

その…………あぁ、くそっ!!



俺はお前にそんな顔をして欲しくなくて、どうにかしたくなるんだよ!!」




「えっ!?」




華蓮は思いがけない言葉に驚き、体を離す





そこには恥ずかしそうにそっぽを向いた土方がいた




「あの、それは……どういう……?」




言っておくが、華蓮に恋愛経験はない




しかしそれは土方も例外ではなかった





土方は島原の遊女にはモテたが、恋愛、というものをしたことがない





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