神風の如く





華蓮は土方が口を開くのをじっと待った





「…………っ
とにかく、そういうことだ!!」





照れすぎた土方はどうにかして誤魔化そうとする





さすがにこれ以上突っ込めない華蓮は、はい、とだけ返事をした






「ところで……」




土方は話を戻そうと首の後ろに手を当てながら華蓮を見た





「芹沢さんのことはやっぱ知ってんのか?」





「はい、一応は……
でも、まさかあんなふうに言われるとは思っていませんでした

バレたら斬られるだけかと………」




「まあ、世間では芹沢さんは悪名高いが、実際そんな悪い人じゃねぇんだ

俺たちがここまでやれてんのは、あの人のおかげっていうのも多少はある」




確か…………芹沢は武家生まれの金持ちだった気がする




記憶は定かではないが……────名が売れる前の壬生浪士組を支えていたのは芹沢だったのだろうか





「そうなんですか………」





「だが、今、壬生浪士組は芹沢さん率いる水戸派と近藤さん率いる試衛館派に分かれていてな…………」





なんとなく土方の言いたいことがわかる気がした





「私は、試衛館派ですよ
土方さんと近藤さんがいなければ私はここにはいませんし」




だから言われる前に自分から答えた





「そうか」





土方は安心したように、一つ息をついた







< 123 / 300 >

この作品をシェア

pagetop