神風の如く
怒りの矛先
文久三年八月
華蓮が幕末にやってきて3ヶ月がたとうとしていた
八月、とは言っても現代とは違い、もう夏の終わりに近かった
そのため昼間は猛暑だが、夜は少し涼しくなった
六月の力士との一件以来、試衛館派のみんなは極力芹沢を止めようとした
しかし、それでも芹沢の悪行はなくならなかった
そんな中ではあるが、屯所は相変わらず賑やか
仲良し三人組が騒いだり、沖田が土方のことをからかったり………
それに華蓮が巻き込まれることもあった
変わったことと言えば─────
「華蓮ちゃん!!」
「あ、お梅さん、おはようございます」
お梅というのは芹沢の愛妾で、妖艶な雰囲気の美女だ
芹沢に会ってから、ほどなくしてお梅とも出会い、同じく男装を見破られ、親しくなった
立場からすれば、あまり好ましくはないのだろうが、お梅はそんなことお構いなしの様子なので、華蓮も気にしないことにした
悪意は全くなさそうなので、土方も黙認している
それに正直、華蓮も女友達ができたようで嬉しかった