神風の如く





次の日、華蓮は巡察に出かける準備をしていた




八月とはいってもまだ上旬





あの大きな事件が起こるのはもう少し先の話だ










そして、数ヶ月前から耳に入っていた、誰かが壬生浪士組を名乗って辻斬りを行っている、という話もいまだ解決には至っていない





それに加え、いつどこで芹沢が悪事をはたらくかわからなかった





そのため巡察はかなり気合いを入れて行っている





「沖田さん、今日もよろしくお願いします!!」





「はい、でも、もう華蓮さんは十分強いですけどね」





華蓮は刀を持った日から、ほとんど毎日欠かさずに稽古をしている





もともと目や勘、反射神経のいい華蓮は、試合で幹部とほぼ互角に戦えるほどの腕になっていた





「華蓮さんの場合、剣術に体術を混ぜて使えば、負けることなんてありませんよ」





「それは、ありなんですか……?」





「いざ、というときに迷っている暇はありません」





沖田のいうことは間違っていないのだが…




こういう話を迷うことなくする沖田を見て、やはりこの人はすごく恐ろしい人だと感じた





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