神風の如く
「土方さん、ご心配おかけしてすみません
でも、大丈夫です
私はすべきことがあるのですから」
いまだ、幕末で新撰組を救って、という小雪の願いの本当の意味はわかっていない
何かを掴みかけている気はするが、確かなものはなかった
だからこそ、そのすべきことをするまでは華蓮は未来に帰らない、絶対に死んだりいなくなったりしない
そう心に決めていた
「…………はぁ、……参った」
土方は華蓮の方を向き、その頭に手を乗せた
「確かにお前は腕も立つし、頭も切れる
だがな、女であって、男より非力であることにかわりはない」
……今までの経験で、やはり男の人の力は強いと華蓮もわかっている
というか、実感させられた
男になろうとすればするほど、自分が女であることを思い知らされていた
土方の目はいつもよりも穏やかに、そしていつものように真っ直ぐ華蓮を見据えている
「忘れるな、一人で背負うのではなく、俺が………俺たちがいる
困ったときは頼れ」
……─────────
その優しさが嘘みたいで、声も、頭に置かれた手の温度も心地よかった
嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちが混ざって、華蓮は頬を真っ赤に染めていた
「……はっ、はい」
慌ててした返事も緊張で裏返ってしまう
「っはは、お前を見ていると飽きない」
──ひ、土方さんが笑った……?
あまりにも突然な出来事に思わず華蓮は土方の顔を凝視していた
「………なんだ?
いくら鬼と言われていようが、俺だって人間だ、笑うときもある」
そう言った土方が拗ねているように見えて、華蓮は少し笑った
こんな、何気ないやり取りが華蓮にとっては嬉しいことであった