神風の如く





沖田はこうやってときどき華蓮をからかうことがある




華蓮は男慣れしていないため、どういう対応をしたらいいか分からなかった




そしてそれがさらに沖田がからかう回数を増やしていることに繋がっていたのだ




そうとも知らず、華蓮は毎度まんまと沖田にしてやられていて一度も勝った試しがない





「総司、あんまり蓮君をいじめると後で歳さんに怒られるぞ」




井上が助け舟を出してくれた




「源さん……それ何気なく土方さんをからかっているように思えます」




「とんでもない!!
ただ、歳さんは蓮君をとても可愛がっているようだから………」




もちろん井上に悪意はない




それが分かっていても、地獄耳である土方は反論せざるをえなかった




「可愛がってなんかねぇよ……」




そんな土方を見て、クスクスと笑う一同であった













その後はしっかりと緊張感を持ち、壬生浪士組は御所を守り抜いた




芹沢たち水戸派ともこればかりは協力し、見事会津藩からその働きを認められた





八月十八日の政変───────





幕府を倒すべく動いていた長州藩はその企みを破られ、薩摩藩と会津藩によって政治の中心である京から追い出されたのである





この出来事によって、幕府派と反幕府派がよりはっきりとわかれることとなる







文久三年、暑い夏の日のことであった──








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