神風の如く






部屋に着き、華蓮が布団をしくと斎藤は土方を寝かせた




まだ寝てはいないようだが、完全に酔いつぶれている





「湊上も、もう寝るといい
あそこは居づらいだろう」




斎藤は華蓮を気遣ってか、優しく言った




「はい、ありがとうございます」




華蓮は未成年だからといってお酒は飲まないようにしているし、酔っ払いたちのもとに行くのも気が引けていた




「では、副長をよろしく頼む」





そう言い残し、斎藤は部屋を去っていった










斎藤の去った方を見送り、土方に目をやると彼はパッチリと目を開け、起きていた




「あ、土方さん、大丈夫ですか?
斎藤さんが運んでくれましたよ」




────?




話しかけても土方は答えなかった




聞こえなかったのか?───いやそんなはずはないが………




「土方さん………?」




もう一歩近づいて声をかける




──グイッ





「えっ?」





何かに腕を引っ張られ、思わず目をつぶった




次に目を開いた時、土方の顔と天井が目に入る




華蓮は土方に押し倒されていた





間近で見る彼の顔はあまりにも綺麗だった





初めて見たときから思っていたけれど





切れ長の目、整った鼻筋に形のよい唇





漆黒で艶のある長い髪





何をしていても絵になるのだ





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