神風の如く




一方、幹部たちの部屋で───





「斎藤君、ご苦労だったな」




「いえ、大丈夫です」






斎藤は近藤に軽く礼をし、元の席に座る




隣には、あまり酔っていない沖田が、つまんなさそうにおバカ三人組を見ていた





「あれ、一君
蓮さんはどうしたんですか?」




「あぁ、ここに戻るのも嫌かと思い、もう休んでいいと言った」




つまり、華蓮は今酔っ払った土方の部屋に二人きりでいるのだ




沖田はもともとそんなに酔っていなかったが、目が覚めたようだった





「一君!!!、なんで置いてきたんですか!?」




沖田は斎藤に詰め寄った




「どうしてかと聞かれても……
湊上は休む、と言っていたぞ」




斎藤は何故沖田がこんなに取り乱すのかわからなかった




「土方さん酔っ払ってるんですよ!?
蓮さんに何かしていなければいいんですが………」




沖田のその一言に、その場がシンと静まり返った





「総司、副長に限ってそれはない」




冷静に口を開いたのは斎藤




「お、俺もそう思うぞ!!」




「まあ、あの歳さんですから……」




それはない、と近藤と井上も加勢した





しかし──────





「つっても土方さんだって男だぞ!?
間違いが起こってからじゃ遅せぇよ」




「心配だ、ちょっと見に行こう!!」





先ほどまで酔っ払っていた永倉と藤堂が言い出し、歩き出した




慌てて原田、沖田と追いかける





そうして、全員総出で土方の部屋に向かった










──スッ




永倉がそっと襖を開けると




(う、嘘だ………………)





仲良く眠る土方と華蓮の姿があった





よく見ると土方は華蓮の頭が自分の胸あたりに収まるようにしっかりと抱きしめていた





「おい、これどういうことだよっ!?」




藤堂が二人を起こさないようにコソッと斎藤に尋ねた




「……俺にはさっぱりわからん」





それにしても二人とも幸せそうだった




普段あまり眠らない土方がこうも安心したように眠っているのだ




お酒がはいったせいというだけではない





「さてさて、みなさん戻りますよ
二人ともお疲れなのでしょう
寝かせてあげるのもいいではありませんか」




そうして山南に背中を押され、幹部全員が土方の部屋を後にしたのであった






< 145 / 300 >

この作品をシェア

pagetop