神風の如く






「昨日、副長は酔いつぶれてしまっていたので、俺が運びました

その際に湊上にも休めと言い、心配になった幹部全員と確認しに戻ってきたら、仲良く眠っていらっしゃったので、そのまま退散しました」





斎藤の状況説明に土方が眉をピクリと動かした




「おい、っつーことはお前ら全員この状況を見てたってことか?」




「………はい、何か?」




土方はまるで魂が抜けたようになっていた




それより、もっと気にするべきことがあるにも関わらず……




華蓮が朝餉の支度に行こうとすると土方に呼び止められた




「その、申し訳ないが………
俺は昨日、お前に何かしたか?」




本当に覚えていないようだった




嫌なことはされていないが、何もされてないと言えば嘘になる




華蓮は昨日のことを思い出し、顔を真っ赤にしていた




でも、言わないわけにはいかない




「く、口付け、されました……」




「なっ…………」





朝からなんという会話だろうか




斎藤は土方がそんなことをしたことを信じられず、目を丸くしていた




しかし、華蓮がこんなにも顔を赤くしているのは紛れもなく、土方が華蓮に口付けをした証拠だった




「あ、あの、それ以外は、その
何もされてなくて…………
そのまま抱きしめられて眠っていただけですからっ

じゃあ、朝餉の支度に行きますねっ」




華蓮は顔を真っ赤にしたまま、部屋を出て行った



斎藤もそれを追う




残された土方は、華蓮の言葉と自分の行動に驚いて動揺を隠せずにいた






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