神風の如く
だが、それを聞いていた幹部連中が黙っているわけがなかった
「えーっ!!
土方さん覚えてないんですか!?」
いち早く声をあげたのは沖田
沖田は土方に怒られることなど、痛くも痒くもないのだ
「うるせぇな、総司……
本当に覚えてねぇんだよ
まあ、蓮が何もされてないって言ってんだから、大丈夫だとは思うがな」
あえて接吻のことは言わない
知られると面倒だからだ
「本当に………?」
沖田、永倉、藤堂、原田が疑いの目を向けてくる
土方が答えようとしたとき
──スッ
「副長がそんなことをするわけがなかろう
湊上も接吻だけだと言っていた」
「さっ、斎藤!!」
斎藤が朝餉を持って入ってきた
よく見れば、その後ろに顔を真っ赤にした蓮がいる
土方は頭を抱えた
「げっ、土方さんそれ本当かよ!?」
「それは何もしてないとは言わねえぞ!」
藤堂と原田は驚いて、少し怒っているようだった
「………申し訳ありません、副長
黙っていた方がよろしかったのでしょうか………?」
斎藤が状況を見て、申し訳なさそうにしていたが、今回悪いのは土方である
斎藤を責められるわけがない
「いや、俺が悪かったんだ」
そんな土方の素直な一言に、その場にいる誰もが驚いた