神風の如く




土方が素直に謝るなど、めったにないからである




「さてさて、とりあえず湊上君は無事なようですし、後は二人のことですから朝餉にしましょう」




少々重くなった空気を山南が変えた




それを機に幹部たちはいつものように話し出す




華蓮は助かった、と一息つき、皆にご飯やおかずを配った




土方のそばに寄ったとき




「これを片付けたら、部屋に戻ってこい」




と案の定言われた




土方はどちらかというと、物事をハッキリさせたいタイプだ




どんな形にせよ、華蓮と話したいのはわかる気がした




ただ、いろいろ考えて、華蓮が辿り着いた答えは一つ








嫌では、なかった





むしろ、温かくて、胸がギュッと締め付けられるような……そんな気持ちになった




だから土方に怒るつもりなど全くない




話すのであれば、それを伝えたいと思っていた













「土方さん、蓮です」




朝餉を食べ終え、片付けをして、部屋に戻ってきた




「あぁ、入れ」




いつもと同じ返事が返ってきて、いつもと同じように入ると、土方は眉間に皺を寄せた顔で華蓮を見ていた




これは、真剣なときか、怒っているときだが、華蓮は土方が真面目に話をするのだと感じた





「その、………すまなかったな
酒がはいっていたとは言え、許されることじゃねぇ……………」




よほど気にしているのか、普段の土方とは全然違った




土方がこんなにも謝っている………




一般常識的には当然なのかもしれないが、華蓮はなんだか悲しかった




そもそも本人は覚えていないのだ




華蓮はこんなにも、振り回されているというのに………





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