神風の如く
空虚な心
気づいたら真っ暗な場所にいた───
「ここは……どこ?」
誰も、いない
周りも全く見えない
華蓮はただ一人、真っ暗な世界に立っていた
「誰かっ、いませんか……?」
返事どころか、人の気配もない
それが余計に恐怖心を駆り立てていた
「誰か、助けて…………」
華蓮は先の見えない恐怖に気を失った
再び気がつくと、いつもと同じ天井が目に入った
「大丈夫か?」
隣には困り顔の土方がいた
周りを見渡すと、どうやらいつも通り土方の部屋で眠っていたらしいことに気がつく
「土方、さん……?」
「そうだ、よかった………」
安心する土方をよそに、華蓮はどうしてこうなったか記憶を遡る
昨日、芹沢を暗殺するために宴会が行われて
お梅さんを心配した私は宴会を抜け出して……………
「お、お梅さんっ!!」
華蓮は勢いよく起き上がった
それと同時に土方が腕を掴む
「芹沢さんも、その愛妾も昨日死んだ」
頭では分かっているが、今の華蓮にはあまりにも衝撃的な言葉だった
「いやっ…………いやだ
どうして………………」
こぼれる涙がどんどん布団を濡らしていく
「お前が自分を責めることなんてねぇ
あれは、どうしようもなかった」
───どうしようもなかった?
土方たちはそうだろう
前を見て、今を生きているのだから
だが、華蓮は────?
芹沢が暗殺されることを知っていたのだ
それにもかかわらず、何もしなかった
それは見捨てていたのと、同じ───