神風の如く
「違う……私は土方さんたちと違うんです
芹沢さんが、暗殺されることくらい知っていました
なのに、なのに………何もしなかったんです」
目の前の少女は涙をこぼし、悔やんでも悔やみきれない気持ちでいる
────こいつを悲しませているのは、間違いなく俺だ
芹沢暗殺を計画したのも、実行を命じたのも、俺だ
「すまねぇ、俺が………決めた」
芹沢暗殺は壬生浪士組が大きくなる上で避けては通れない道だった
芹沢は問題を起こしすぎた
だから、会津藩から命令が下ってしまったのだ
「土方さんは、悪くありません………
会津藩からも命令が下されていたのでしょう?」
土方はこの一言に驚き、目を見開く
いったい、華蓮はどこまで知っているのか
「お前…………どこまで知って…」
「いえ、正直、そこまでは知りませんでした
ですが、土方さんは前に芹沢さんは極悪人ではないと言っていましたし、進んでやろうとはしないと思ったんです……
そして、会津藩から命じられた……
それなら、仕方ないですよね…………」
─────………
華蓮の言葉で土方も、やっと意味がわかった気がした
華蓮はそんな命が下る前に芹沢を止めたかったのだ
しかし、全ては終わってしまった
今更、どうにかできることではない
「蓮、忘れろ
お前は悪くないんだ」
頭を垂れている華蓮をそっと撫でる
どうしてか、優しい言葉が出てこない
こういう時に限って……………
「しばらく、休め」
土方はそう言って部屋から出て行った