神風の如く





────ん?




目を開ければ、真っ白な世界にいた





おかしい、つい最近は真っ暗な世界にいたのに





華蓮はあたりを見回す




誰もいない─────そしてここは…




見覚えがあった






何か気配がするのがわかる





「小雪さん…………?」




そう、いつか前にここに来たことがあった







「はい、よくわかりましたね」




名を呼ぶと、神々しい雰囲気の女性が現れた




──ということは、夢の中、か





「ごめんなさい、あなたに辛い想いをさせてしまいました」





小雪は華蓮に頭を下げる





突然のことに華蓮は慌てた





「いいえ、きっと誰が悪いとかではありませんから………」




強いて言えば、何もできなかった自分が一番憎い




「あの、私に変えて欲しいものって何なのですか………?」




華蓮は、それが分かりそうで、しかしまだ掴めずにいた




「それは、あなたが見つけなければ意味がないんです」




──どういう意味なのか




困った華蓮をよそに小雪は続ける





「どう行動するのかも、どう生きるのかもあなたの自由です
必要とあらば私は喜んで手を貸すでしょう


ですが、あなた自身がまずどうありたいのか決めなければなりません」




正直、小雪の言っている意味がイマイチわからなかった




「華蓮さん、あなたが思うままに正直に生きて下さい

それが唯一の近道なのです」





小雪はそれだけ伝えるとすぐに消えてしまう









───思うままに





それが、華蓮にちくりと傷を残したのは言うまでもない





この時すでに、華蓮は完全に道を見失っていた







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