神風の如く
「やめて下さいっ!!!」
今までしていた話題の主の声が響き、驚いて振り返る
今にでも泣きそうな目をしていた
しかし、あの顔は────
土方や沖田を責めているのではなく、自分の罪悪感でいっぱいだという感じだ
「れ、」
「ごめんなさいっ…………」
名前を呼ぼうとすると、華蓮は勢いよく駆け出した
唖然としていた土方とは違い、沖田はすぐに追いかける
「総司っ!!」
「僕は追いかけます!!
あなたはまだ仕事があるんでしょ!?」
沖田は振り向かずに去っていった
そうやって、追いかけられることが羨ましい
──俺は、アイツの恋仲である資格がねぇかもな
土方は振り切るように、仕事に向かった
「はあっ、はっ」
──あの子はどこまで行ってしまったのだらうか
すぐに追いつくと思っていたのに、全く姿が見えず、見失ってしまったのだ
華蓮なら、多少のことでやられたりはしないと思うが、それでもこの京は治安が悪い
それに、華蓮の心の方が心配だった
「蓮さん、あなたがここにいる意味なら、十分あるじゃないですか……」
沖田は独り言を漏らす
華蓮は成すべきことがある、と言った
きっとそれが何なのか探し中で、いろいろ迷っているのだろう
「土方さん、不安がっているのをわかってても、不器用すぎるんですよ……」
沖田は、はぁ、と一息ついて立ち止まる
日を見ると朝よりは大分高くなっていた
──戻って、応援を呼ばないと夜までに見つけられないかもしれない
沖田は再び走り出した