神風の如く





坂本龍馬に連れてこられたのは寺田屋、という宿屋




そしてそこには既に男がもう一人いた





「すまんな、改めてわしは坂本龍馬
こいつは中岡慎太郎だ」




「おい、龍馬、なんで勝手に本名を明かしてるんだ………」




中岡はため息をついた





──中岡慎太郎…




華蓮は聞き覚えがある気がした





「何か用ですか」




華蓮はできるだけ低い声で冷静に聞いた




よく考えれば、今最大のピンチだ




逃げれるものなら今すぐ逃げるべきだろう





「おまん、女子じゃろ?」




「えっ………」





何を問いただされるかと構えていたのに、一言目がこの質問で驚いた





「何回か見とって、どうして女子なんかが新撰組っちゅう男所帯にいるか不思議だったが」




坂本龍馬は陽気に笑う




髪はボサボサ、服もちゃんとしてる、とは言い難く華蓮はいい意味で教科書通り人だと思った





「……私の男装ってそんなにわかりやすいんですか………」




ここで否定して身ぐるみはがされてもどうしようもない




華蓮は素直に認めた





「がっはっはっは
おまんはおもしろき女子じゃき!!

普通なら悲鳴の一つや二つあげてもおかしくないぜよ」




「普通じゃないので」




ハッキリ言って、今の華蓮は不機嫌だった




それも当然、わけもわからず勝手に屯所を飛び出して散々悩んでも答えが見つからず、あげく坂本龍馬に捕まってしまったのだから






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