神風の如く





坂本はこれで大丈夫って言ったけど、本当に平気だろうか




華蓮は屯所に近づくにつれて不安でいっぱいになった




しかし、その華蓮の格好は驚くべきもので…………




髪はぐしゃぐしゃ、服も体も汚れていて、手には縄の後がつけられていた




そして、坂本から新撰組宛ての手紙を託されて今に至る




坂本と話をした、などとは口が裂けても言えない




そんなことを言えば、土方は自分の立場と華蓮のことで悩むだろう




屯所に帰るときに、どう誤魔化そうか考え、浅はかな行動を後悔していたが、坂本が提案してくれた案に乗った




「それでも、なかなか入りにくいな……」




屯所の問からこっそりと中を覗く




今は朝方、まだ早い時間帯だ




眠っている隊士たちも少なくないのだろう




なんとか誰にも見つからずに土方の部屋に行ける気がした





「湊上か!?」




突如、上から声がした




「えっ、あ、山崎さん
えと、その………」




「その格好は………怪我はないのか!?」




「はい、無事です」




山崎はホッと一息ついた





「ここに隠れていろ、副長に報告するついでに、見つからない行き方を探しておく」




「はい、お願いします」





山崎を見送り、華蓮は茂みに隠れた






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