神風の如く
「────とりあえずこんな感じでした」
坂本たちとの会話はとても新撰組に言えることではなく、坂本の指示通りに話した
坂本龍馬は日本人同士の争いを好んではいないということ
しかし、抵抗するようであれば仕方のない戦いになってしまうことも想定していること
代わりに、華蓮は新撰組が京の治安維持と人々を守るために活動していることを伝えた
坂本にとって、新撰組が華蓮から話を聞きたがることくらいわかっていたのだろう
このシナリオは嘘ではない、が本当とも言えない
──まあ、ある意味策士なのかな
「あの、坂本さん……」
「何じゃ?」
「このお話、断れば争いが起こっても仕方のないことだ、ということですか?」
他に方法はないのか………
「それは愚問ぜよ
手は尽くしてみるが、かなり厳しい
それに華蓮がその手を使ったとしても、問題は長州と会津じゃき
幕府は弱気じゃから説き伏せればいいが、あの睨み合いを止めるのは簡単ではないぜよ」
「そう……ですか」
しかし、坂本はそれでも大きな賭けに出ようとしているのだ
「まあ、華蓮の言うとおりもう少し様子を見てみることにするぜよ」
「そうですね……私もゆっくり考えることにします」
華蓮が焦って答えを出さないところを見ると、すぐに戦争が始まるわけではない、と坂本は察した
──その時が来たらおまんはどうする?
自分の故郷を捨て、新しい未来を作り出す一歩をふみだすのだろうか
それでも幼い少女一人ではどうしようもない
まずは自分が力をつけなければ
坂本は得体の知れない少女に僅かな期待を持ち、倒幕に向けて動き出していた