神風の如く
「見守り、一緒に背負うことです
あくまで今はまだ、というだけで…
この先、私の行動によっては未来に影響を与えてしまうかもしれません
私は幕府側とか攘夷派とかよくわかりません
どちらでもないつもりです
それでも新撰組は私にとって大切な場所、それに変わりはありません
だから、見守ることにしました
坂本さんたちの言葉から察しただけですが、そう遠くない未来で私は大きな決断をしなくてはならないかもしれません
その時までは一緒に戦う所存です」
そう遠くない未来────華蓮は過去か未来かを選ぶ時が来るのか
土方は目の前で強い決意をした少女を切なく想う
華蓮は全てわかっていて、部分的にしか口には出していない
それは言いたくないからか、自分たちに突っ込まないで欲しいからなのか
とにかく土方はこんな現実を突きつけた坂本をひどく恨めしく思った
「蓮君、俺は感動したよ……!!!!」
「こ、近藤さん、やめて下さい…」
近藤は大人げなく目をうるうるさせて華蓮を見ている
「とても、とても立派ですよ……」
「や、山南さんまで……」
そんなに誉められることなど、していないのに
困り果てた華蓮に助け舟を出したのは土方だ
「女のコイツがここまで言ったんだ
てめぇら、やることわかってんだろうな!?」
その場の空気を変えるような発言に青くなる男たち
「ひっ、土方さん………
もうちょっと言い方ねぇのかよ
仮にもあんたの女だろうが」
原田は隣にいる永倉と顔を見合わせ、華蓮が可哀想だと言い張る
「うるせぇ!!
お前等には関係ねぇだろ
これで話はしまいだ!!
仕事に行け」
「……土方さんももう少し素直になればいいのに…………
そんなに口下手だと嫌われちゃいますよ?
蓮さん、あなたの素直さをわけてあげて下さい」
沖田は黒く笑う
彼にとって、今は土方をからかう絶好のチャンスなのだ
──沖田さんも懲りないなぁ
この後、土方は口の減らない沖田を小一時間追いかけ回していた
そして、季節は冬に変わる
華蓮は幕末にて初めての冬を過ごそうとしていた