神風の如く
──蓮は無事だろうか
夜になるにつれて土方はそわそわとしていた
副長という役職なので、どちらかというと机仕事が多く、華蓮の件は沖田たちに任せている
が、本心は自分が行きたくてしょうがなかった
「チッ…………」
日が沈んでからというものの、仕事が全く手に着かなかった
「………クソッ」
──気になって仕方ねぇ
土方は部屋を出て近藤を探した
──スパンッ
「近藤さん、すまねぇ
島原に行ってくる」
いつもは思いっきり開けたりなどしないが、この時の土方は別だった
「あぁ、歳か
そうか、行ってこい」
「あぁ」
土方は駆け足で島原に向かった
──歳は女子には興味がないのかと思っていたが、どうやら思い違いだったようだな
近藤はお茶をすすり、一息つく
土方は容姿端麗で、町を歩けば島原の芸子はもちろん、町娘からも文が届くほど
しかし、興味がないのか見せびらかすことはあっても返事を出すことはないのだ
──歳はよっぽど、蓮君が大事なんだな
近藤は親友であり唯一無二の仲間に大切な人ができたことを心から喜んでいた
島原の入り口まで来た土方は何やら騒がしいことに気がついた
何かあったのではないかと不安になる
「副長」
「山崎か、どうなってる!?」
暗がりから山崎が顔を出した
「襲撃を企てた奴らを見つけたのですが、湊上のことがバレてしまい、今は沖田組長と斉藤組長が応戦中です」
「チッ……ここでやっちまったか………
それで、蓮は!?」
ここは島原だ
できれば血を流すようなことはしたくなかったが、始まってしまったのなら仕方がない
「申し訳ありません
湊上ならもうすぐこちらに来ます
俺は組長たちの応援に入りますので、副長は湊上を」
「わかった」
返事をすると山崎はすぐに消えていた