神風の如く





華蓮もそれに気づき、慌てて両手で隠した




「あのっ……その……取れないんです」




恥ずかしさに、顔を背けた




「ったく……動くなよ」



土方は華蓮の前から後ろの帯に手をかける




「それにしても、もったいねぇな…
こんなに綺麗なのに」



「す、すみません
綺麗な着物を汚したり、くしゃくしゃにしてしまって……」



これは恐らく借りているものだ



返すからには綺麗なまま返したかった




「は!?」



だが、土方が言いたかったのは別のようで




「誰が着物の話なんてするかよ

お前が、綺麗だから………
脱がすのはもったいねぇって言ってんだよ」



「えっ!?」



──自覚無しかよ



心の中で舌打ちをした





「あの、変じゃないですか!?」



「何言ってんだ
綺麗に決まってんだろ」



当たり前のように言われて、華蓮は嬉し恥ずかしくなり顔を赤らめる



「あ、ありがとうございます……」





「まぁ、どうせ脱がすなら布団の上がいいんだがな」



土方が急に耳打ちしたかと思えば、とんでもないことを言っていて



「なっっっ!」



「冗談だ」




不覚にもその笑顔にドキドキしていた









「よし、あとはこれをこうして……」



土方は手先が器用なのか、割とすぐにほどいてくれた




──スパンッ



「れーん、無事か?って……えっ!?」



ほどけて、思いっきりはだけているところに、藤堂、永倉、原田の三人が運悪く居合わせてしまう




『おっ、お邪魔しました~』




──ふぇぇぇええ!!



華蓮は見られた羞恥で心ここにあらず





「て、てめぇらっ!!
誤解だっっっっ

ちょっと待てぇぇぇええ」




夜更けに限りなく近いというのに、鬼の副長の叫び声のおかげで隊士たちはなかなか眠れなかったとか






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