神風の如く
一夜明けた朝餉にて───
「沖田さんも斉藤さんも山崎さんもご無事で何よりです」
浪士たちに立ち向かった三人は相手を葬る、または捕縛して無事に帰ってきた
昨夜、三人のことが気がかりでオロオロとしていた華蓮も、三人の姿を見て安心して眠ったのだ
「あのくらいの人数、大したことないですよ、ねぇ一君」
そして幸いなことに傷一つない
「当たり前だ」
「でも、本当ならあそこで斬り合いにならない方がよかったんですよね……
失敗してしまってごめんなさい」
島原はそこらのお店と違う
刀などを出していい場所ではない
「いいんだよ、蓮君
君のおかげで屯所襲撃されなくて済んだようなものだ」
話を聞いていた近藤が、いや立派な働きだ、と豪快に笑う
──局長がいいっていうなら喜んでもいいのかな
「湊上君、今回は無理なお願いをしてすみませんでした
ですが、近藤さんの言うとおり、素晴らしい働きでしたよ」
言い出しっぺである山南も満足している様子
「………はい
ありがとうございます」
終わりよければすべてよし、なのかと華蓮はホッとした
「それにしても……僕らが戦っている間に楽しいことをしてた土方さんは許し難いですねぇ」
和やかな雰囲気乱すのは沖田
華蓮も絶対嫌みの一つや二つは言ってくるだろうと践んでいた
「そ、総司!
誤解だと昨日から言ってるだろうがっ」
せっかくの穏やかな朝餉の時間は沖田によって壊される
──もう慣れたけど…
昨日、着物をほどいてもらったところをちょうど三人組に見られてしまい、誤解を解く前に広まってしまったのだ
もちろん、古株メンバーのみに、だが…
その後、騒がしい副長助勤たちに土方がキレ、説明したのだが、沖田はそれでもからかいたいらしい
「ふぅん、それでその後何もなかったんですか?」
「おっ…おっ………沖田さんっ!!」
朝からなんという会話
楽しんでいるとしか思えない
土方は怒鳴ることも忘れ、わなわなと震えている
「これこれ総司、そのくらいにしなさい
蓮君が困っているよ」
「井上さん………!」
──助かりますっ
優しい井上の言葉によって救われ、華蓮がこれ以上恥ずかしい思いをすることも、土方の雷が落ちることもなかった